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(『身体制御』起動 知覚値10倍に設定 『時間の歪み』常駐 監視開始
『原子操作』簡易起動 『戦闘能力瞬時予測解析』起動 常駐 『ハッキング』終了)
無感情のVCを巧みに操り戦闘準備を開始。 『ハッキング』はVCのコアに少しでも
負荷を軽減するため終了する。
相手は先ほど感知した『世界改変』能力者だろう。
内心苦笑していた――まさか『世界改変』を使える者が乗っているとは……。
(『時間の歪み』感知 設定値を0,1秒に設定)
向こう側の男は第一歩を踏み出した。
時間の歪みが使えるのか。と思うまもなく敵と同程度の設定に変換する。
(敵の運動値10倍)
最初の一歩で敵の『身体能力』の強さを把握する。 10倍なら暁が運動値を
10倍にしたところでもともと華奢で筋力が無い暁のほうがかなり不利である。
おまけに短剣を握っているため安易に近づけない。 一瞬にしてすさまじい計算
速度で相手からの距離、外気温や湿度、現在の起動ソフトなどすべてを巡らせ
今できる最善の選択をVCがくだす。
(『身体制御』運動値10倍)
通常の人間ではあり得ないスピードで右足が出る。
しかし、暁には通常と同じにしか見えない。
運動値と同じ倍率の知覚値で引き延ばされた時間の中と
『時間の歪み』の中にいる暁達にしてみればその空間の中で
『普通に動いている』事になる。
逆に周りにいる通常の人達がとてもゆっくりに見える。
敵の青年はもうすでに三歩繰り出している。
『時間の歪み』を使った世界でも速く動けるほうが当然有利なのだ。
戦闘準備をする。相手と互角以上に戦おうとするなら
(『原子操作』稼働状態を簡易から起動に変更 圧縮プログラム コード『紅』
展開プロセス準備完了 空気分子中に『紅』を発動 展開位置固定)
VCから命令を飛ばし目的のファイルを呼び覚ます。
かざした右手から丸く火の玉ができる。暁は普段からこの技を愛用している。
使いやすい便利な技だ。オカルトで言うファイアーボール………と康樹兄が言っていた。
ある程度の威嚇や攻撃には必然的に暁は使うようになった『紅』
『紅』というのは暁がつけたファイル保存名で原子操作理論に基づいて作った
空気上の分子に直接関与して原子を強制的に『一時的な炎の分子』に配列変換。
その後、球状になった炎の周りに、炎の暑さで出来た、
周りの体積が大きくなった空気を炎と手の
間に圧縮し、相手に投げつける技だ。
一瞬相手も驚いたように目を開き、一歩後退した。 暁はその瞬間に『紅』を発射した。
しかし『紅』は青年の身軽な動きと剣裁きで避けられ、
炎は何事も無かったかのように消え去った。
技がはずれ、心の中で舌打ちをする。
だが今はそれで十分だった。
青年にはずれる寸前には少女を抱きかかえ、ドアから逃げ出していた。
(『身体能力』運動値を15倍に変更、『戦闘能力瞬時予測解析』終了)
ひとまず災難から逃げ出し、ひたすら走る。 勝てない相手では無かったかもしれないが
少女を連れ回しながらでは少々無茶であった。
(『時間の歪み』終了 全ての操作を簡易状態に移行)
処理をしていたVCを一時的に止めた。
逃げられた――まあよく逃げられたものだと冷たく関心した。
だが桜は後を追わなければならない。
しかし、ここにあるすべての培養液や少女のことをさらに調べる必要があると確信した。
一度は見たことがある培養液だらけだが……。
一通り見た後、軍のジャケットを翻し、少年達の後を追った。
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