「俺としたことが……迂闊だったな」
静かに言う男。 暁達はホールの真ん中にいたので、いきなり襲われることもないのだが
この上無く危険な状態だ。
「やっぱあのときに動けなくしておくべきだったなあ…」
精一杯虚勢を張ってふざけた口調で言う。
だが実際戦って余裕が全然無かった。勝てないことは無いかもしれないが
力を隠している可能性もある。
「あなたの名前は?」
(『戦闘能力瞬時予測解析』起動 『身体制御』運動値15倍 知覚値15倍に再設定)
相手の名前を聞く振りをして戦闘準備。 VCに必要なソフトを準備させる。
「俺は桜――お前は?」
「名乗るほどのモンじゃねえぜッ」
ミリィは少し下がっている。
一瞬でも隙があればミリィを捕まえる可能性もあるが……。
自分が倒されたらおそらく抵抗すらしないだろう。
もはやこの場を打開するには――
(『時間の歪み』 0.1秒に設定)
戦いの火蓋はこちらから落とした――。
「――――」
(『時間の歪み』 0.1に設定)
0.1秒と言う世界の中でも身じろぎをせず殺気のこもった目線で見る。
ショートインショを構える。
彼のVCは強い――がまだ武器を持っている分こちらの方に若干分がある。
いくら短剣でも彼――桜自身がおそらく世界でもトップレベルの――。
むこうの少年は一気にこちらに向かってくるらしく、ダッシュでこちらに向かってくる。
どうやら短期決戦のようだ。短剣を構え直しVCの設定を変える。
(『身体制御』運動値40倍 知覚値50倍に設定 VC稼働率50%固定定義)
これまでだしていなかった力で体を制御する。 桜は相手を睨み付け少年に向かった。
40倍の早さは相手の少年とは比べ者にならないスピードで
間を詰めたことに驚き二歩後退した。一気に短剣で詰めるが相手も力の差が歴然と
したのを知ってか、とにかくよける。体が身軽なのでなかなか思った以上に短剣が
当たらない。動けなくなる程度の一撃――それは
(『時間の歪み』 圧縮プログラム展開 コード 『時間律の崩壊』
展開プロセス 準備完了 VC稼働率76% 『身体制御』 常駐ランクAに
優先度をダウン 運動値 知覚値をそれぞれ25倍に再設定
脳内一次記憶容量を確保 コード『時間律の崩壊』作動)
相手に近づき、『時間律の崩壊』が作動した刹那――
瞬間的に敵の左腕を切断していた――
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