最短1分の懸賞!
「もらうねっと」

                ――あなたにとって信じるもの――

           私にとって――




(回避不能  軽減率1%)

VPCIHが感情も何もない声で脳裏に響いた。

瞬間的にすべてが終わっていた。

最後の力を振り絞って放った一撃はいとも簡単に滑空を滑り

反動と次の瞬間にきた後ろからの攻撃で地面に倒れた。 

まだ降参するわけにはいかない……何とか立とうと腕を立てたが

剣の腹を頭に置かれ

「まだやる?」

わずかに頬を紅葉させた彼女を見たとたんにすべての気が抜けた。

そのまま腕を折って倒れ伏した。汗が体中から無くなるくらい吹き出た。

「………もうっ………無理………」

息が異常に上がっている。 どれほどの無理をしたところでこの少女の

訓練より疲れることは無い。

「まだまだだらしないねえっ桜」

さっきとはうってかわった態度でこちらにやってきた。

いったいどうやったら3時間も戦って汗一滴も流さずに戦えるのだろうか?

「はいっタオル」

「ありが………わわっ」

タオルを投げられたと思い受け止めようとするとタオルを持った水紀だった。

「あ……あのさっ………こんな所では………ちょっと……」

彼女はそんなことお構いなしで押し倒して顔をタオルで拭いてくれた後すり寄ってきた。

「負けたでしょ」

「………………」

そういう問題では無いと……と言おうとしたが彼女には言っても無駄なことに気づき、

とりあえずなすがままに…………力が入れば別だが………された。

脳内時計が『三時三十三分』 を告げた。 

「だいたいVCの使い方がなってないわよ。時間法則に頼らなくても

勝てるようにならなきゃ」

いつものお説教が始まる………顔の目の前で指をなかなか長いのでいつものように

(『時間法則』の情報を0,1ミリ秒に設定)

頭の中で『時間の歪み』を起動し世界がスローになった瞬間に彼女から逃げ出す……が




がしっ




『時間の歪みを解除』をすると何故か後ろを捕まれている。 案の定水紀である。

「今日は一段と逃げ出す時間が早いわねえ…」

後ろを振り返るととてつもない眩しくけどどこか恐ろしい笑顔があった。

最初に逃げ出した頃からいつも1ミリ秒進むまでに捕まってしまう。

「やっちゃう………」

「…………お願いしないでしないで………」

必死に言うその意見すらも無視され彼女の膝に寝かされる。 

膝枕に寝ちゃうと気持ちいいし彼女が妙にコレを気に入っている。 だけど

「ねえっ………」

「なーに?」

眩しい笑顔に鼻まで詰め寄られどきまぎしながらも

「………その………ここでは………」

周りを見回すとかなりの目線が気になる。 いくら人が公園で訓練だからって

これほど集まってくる場所はほとんどないだろう。それもコレ見たさに…。

「いいじゃないっ」

そんなはじける笑顔で言われちゃうと肯定しそうになって危うく首を振りかけ…

「うん………ってそうじゃなくってここでは……膝枕は……」

「えーっ…………うーんじゃあうち帰ったらねっ」

彼女も少しわかってくれたのか………何とか膝枕は勘弁してもらって公園内を散歩する。

周りの人たちは「家に帰って?」などといらぬ想像をしていた奴もいたが

それは無視した。

もう春の新芽が咲こうとしていた。

「綺麗だね」

「……うん」

もう春はすぐ近くにきている。 風がどこまでも透き通るような心地よさに

思わず伸びをしてそのまま並木の公園内を歩く。

もうずいぶん人は帰りちょっとばかしほっとしながらのほほんとした空気を

楽しんでいた。

 もう人がいなくなったの見回した水紀は桜の腕を抱いて

「もういいよねっ」

「うん」

頷いた後、彼女は耳元で囁いた。

こんな平和はもうわずかだった。

笑顔だった水紀の顔は忘れることはない――

ただ、自分はここにあるために生まれてきたのかもしれない。

だけど、それでいい。

それだけが心を取り巻いたって不快でもなければ逆に気持ちいい。

水紀、君を守るために戦うなら。 そう思っていた。

だけど、その約束は――――――――

 next  noveltop

最短1分の懸賞!
「もらうねっと」